これからの時代、なぜ自動車業界においてDXが必要なのか?

イノベーション

今後の自動車完成メーカーは、電動化、つまり電気自動車(EV)にシフトしなければ少なくとも欧州には輸出できないようになります。

2017年7月14日、EU(欧州連合)において、2035年はゼロエミッション車のみの発売とする規制を発表した。つまり、単純な内燃機関車だけでなく、日本が得意とするHEV(ハイブリッド車)、PHEV(プラグインハイブリッド車)すら2035年以降は欧州では発売することができなくなりました。

私の勝手な推測であるが(間違っていたらすみません)、この欧州委員会の規制の背景には、欧州は、日本の、例えばハイブリッド車には到底太刀打ちできないので、レギュレーションを変えて欧州の産業に有利に進めようという思惑があるのではないか、と思っています。

さて、この場をお借りして少し話が脱線しますが、以下の点について簡単にふれておきます。
地球環境問題・カーボンニュートラルの問題にとって電気自動車(EV)が本当に一番有効なのかという点です。
結論から申し上げますと私は以下の理由でかなり疑問だということです。
電気自動車は実は全くエコではないというのが私見です。
すなわち、電気自動車生産時に電気エンジンを作る際には今までの水素自動車などと比較するとCO2ははるかに増えるし、つまり、電気生産にはCO2が多々発生するものだと理解しています。

加えて、EVの航続距離は短く、かつ充電に余りに時間がかかる(現在、この2点について改善できる電池の開発が一部の企業でできたという話も聞きますがまだまだ大規模な普及には繋がっていないと思います)。

私はこの分野の専門家ではないので上述の説明が真実なのかどうかは断言できませんが、我が国における自動車完成メーカーが今後、電気自動車だけの生産にシフトしていくということについては、本気になれないことだ、理不尽なことだと思っていると私は勝手に推測しています(もちろん、EVだけを開発するわけではなく、水素自動車などを含む多種類の自動車を作っていくのであればそれほど問題が顕在化はしないと思いますが)。

この電気自動車をエコだと主張し規制をかけていく欧州委員会は、日本自動車産業を締め出す魂胆があるのかも邪推しています(この見解については私個人の全くの推測であるので事実とは違う可能性が多分にあるので、間違いであればその点ご高配頂ければと思います)。

上記の仮説は今回のテーマとは直接関係はなく、また、あくまで私の推測でオリジナルな見解なので、この程度で話は避けますが、いずれにしても、将来はおそらく否応なしに欧州以外の地域、つまり、全世界的にも電気自動車が中心になっていく可能性が高いと思います。

そうすると、既にご理解されていると思いますが、以下の問題が出てきます。

すなわち、自動車サプライチェーンである下請企業の存続の危機問題です。

自動車産業は完成メーカーであるトヨタ、ホンダ、日産の下には、tier1、tier2、tier3、tier4といったように部品を供給する下請企業が重層化されたピラミッドで構成されています。

今までの自動車であれば自動車1台あたりの部品点数は3万点以上と言われており、その部品を上記の下請事業者が製造しています。しかし、EVになれば、製造する部品数は現在の2分の1、3分の1程度になると言われています。少なくとも、エンジン、トランスミッション、吸排気系周りの部品は確実になくなります。

そうすると、ピラミッドでぶら下がっている非常に多い下請企業は、EVが普及する過程で大打撃を受けます。つまり、こうした下請事業者は企業の生存をかけて、その脅威を予測し回避しなければならなくなると思います。回避する手段としては、新しい事業領域に変革するか、他業種に部品を供給することが求められるのではないでしょうか。

このように下請企業が変革を促される理由は、もちろん環境問題、カーボンニュートラル問題の解決策としての電気自動車(EV)指向が直接的な理由です。

しかし、元をただせば、世界的な人口減少・労働人口不足という理由から、その対策・手段としての「DX推進」という点が理由として特に重要であると考えます。
なぜならば、CASEはDX推進のための一手段だと思っているからです。

以上が、自動車産業において「真の意味のDX」を推進しなくてはならない理由、となると私は考えます。

※参考・引用文献 八子知礼「DX、CX、SX 挑戦するすべての企業に爆発的な成長をもたらす経営の思考法  (2022年)」を参照、一部引用

小林 章一

小林 章一

早稲田大学大学院法学研究科博士前期課程修了(法学修士)。現役国家公務員。日本ベンチャー学会会員、日本法社会学会会員、日本中小企業学会会員。行政の現場で法律の策定、多くの産業を支援してきた経験、加えて、個人のスキルアップのため幅広い学問分野に従事してきた学術的経験を活かし、日本が直面する問題の解決を目指す「活きた学問」の追求を目指していきたい。「失われた30年」を取り戻し、日本経済再生のカギになるようなオリジナルで核心を突いた知識・情報の発信を行っていこうと思います。

関連記事

特集記事

小林 章一

小林 章一

早稲田大学大学院法学研究科博士前期課程修了(法学修士)。現役国家公務員。日本ベンチャー学会会員、日本法社会学会会員、日本中小企業学会会員。行政の現場で法律の策定、また多くの産業に関わってきた経験、加えて個人としてのスキルアップのため学問分野に従事してきた学術的経験を活かし、日本が直面する問題の解決を目指す「活きた学問」の追求を目指していきたいと思っています。 「失われた30年」を取り戻し、日本経済再生のカギになるようなオリジナルで核心を突いた知識・情報の発信を行うよう心がけます。

最近の記事

  1. 大学にて起業論、ベンチャー企業論を教育する上での留意点

  2. 起業家・事業家にとって必要だと思われる「行政法(環境法も含む)」知識

  3. 起業家・事業家(及び目指す学生)が最初にPMFを行う上で必要なハイブリッドな経営学・経済学・法律学等の知識

アーカイブ
TOP