先日、トヨタ自動車の豊田章男社長は「私はトヨタを『自動車をつくる会社』から『モビリティカンパニー』にモデルチェンジする」と決断され、公表しました。
このことが示している背景には、現在自動車を取り巻く環境は「100年に1回の大変革」の時期ということであります。
なぜこのように大変革の時期なのかというと、当然ながら、世界的な重要社会課題である、環境問題・カーボンニュートラルの問題、特に地球温暖化問題へ世界全体で取組をしていかないといけないということが根底にあります。
もう一つには、現在、第4次産業革命を経て、そして第5次産業革命の萌芽も予想される中、付加価値の源泉が今までの「資本」から「人材」に移行しており、デジタル技術がますます社会の基本インフラになっている、ということも根底にあると考えます。
当たり前の話ですが、この大変革においては「MAAS」と「CASE」いう概念が重要となります。
「MAAS(Mobility as a services)」は移動に関するサービス事業、CASE(Connected、Autonomous、Shared&services、Electric)はダイムラーが最初に提唱した概念でありますが世界共通の概念になっており、多様なサービスとコネクト、自動運転、シェアードサービス、電動化、という意味です。
このことからわかるように、自動車産業はもはや自動車というハードウェア単体で存在するのでなく、モビリティとして、電動化、自動運転、シェアなどを行なわなくては生き残れない状況になっています。例えば、Connectedは、IOTの1つとしてクルマをとらえることです。
そしてAutonomous は、人間が自動車を制御させるのではなく、クルマが自らの動きを律する(制御)する必要があります。つまり、特定のセンサーや機能に頼らず、複合的な組み合わせによって障害発生時に二重三重の予防効果としてのフェイルセーフを敏速かつ適切に行う必要があります。
そして、CASEは、クルマ自らが自らの動きを完全に制御する、最終的には、人間の行為を全く介さない完全自動運転化(レベル5)を目指しています。この場合は、AIを駆使しヒューマン・マシン・インターフェースを作りこむという非常に難しい作業が必要となってきます。
この最終目標を世界でどの国が実現できるのかは不明です。
我が国においては全ての乗用車をレベル5にすることは、インフラ整備や法整備上の問題等のコストの問題があるので実現には程遠いと少なくとも一部ではいわれています。
ただし、確実にいえることは、このレベル5の実現は、高度なDXを駆使して行う必要があるという点です。
※参考・引用文献 八子知礼「DX、CX、SX(2022)」、日高洋祐、牧村和彦、井上岳一、井上佳三「MaaS(モビリティ革命) モビリティ革命の先にある全産業のゲームチェンジ」を参考、一部引用