L型企業(ベンチャー企業も含む)が「ダイバーシティ」を行わなければならない理由

人材戦略

グローバル(G型)企業のように、優秀な人材が比較的容易に集まるところは、基本的にその人材マネジメントを踏襲していくことと考えています。
他方、中小企業・小規模事業者、そしてベンチャー企業(L型)にとっては、グローバル(G型)企業とは違い、人材確保・定着などの人材マネジメントを重要な経営課題として位置づけ、戦略的・戦術的にアクションを起こさないといけないと考えます。そのアクションの方向性として、私は「ダイバーシティ」戦略・戦術が必要だと考えています。

以下、L型企業が、「ダイバーシティ」を行うことが得策である理由を説明します。

中小企業・小規模企業は日本の法人数割合の99.7%を占め、日本全体の雇用の約8割を占め、中小企業基本法でも謳っていますが、我が国経済の活力の源泉だと謳われています。
そして、これらのL型企業はG型企業と比べて地方に多く存在しているのが一般的な特徴で、DXの推進などにおいて伸びしろが多い点とグローカルな社会課題が多い点という意味で、地方創生の課題解決を中心とした日本経済再生計画のカギを握るコアな存在だと考えます。

しかし、L型企業の経営課題の一番の問題には「人材不足、人材確保」という恒常的で深刻な問題があります。

中小企業・小規模企業、そして同じカテゴリーに入れて議論してよいかについて議論があるところですが、ベンチャー企業も人手不足・確保問題は、深刻な経営課題になっています。

細かく考察すると、新卒、新人社員が採用できないだけの問題ではありません。人材業界では通説になっていますが、中小企業・小規模企業に入社すると、入社3年目位で退職していく人が多くいるということです(ベンチャー企業は違うと考えます)。この意味で、まずは退職させないようにすることが必要であります。

同時に新規採用できるように、中小企業・小規模企業の経営者、そしてベンチャーの経営者は、潜在的な労働者や現在の従業員に対して、自社が如何に魅力ある働き先なのかを提案することなどが必要となってくると思います。

このように色々と課題が山積みですが、人材確保・定着という点のコアな解決方法ということに関して言えば、成功している企業に学ぶということが重要だと考えます。
中小企業・小規模事業者だけにとって言えば、人材不足対応に成功しているL型企業は、多様な人材、つまり外国人、定年された高齢者、復職後の女性など多様な人材を柔軟に雇用し、柔軟な働き方を導入し人材マネジメントを実施しているということです。

上記のことから言えるのは、国籍、人種、性別等を超えた人材に注目し、つまり、「ダイバーシティ」の推進がその問題の解決の秘訣だということだと考えます。

なお、柔軟な働き方という点については詳細に記述は避けますが、簡潔に述べますと以下のとおり考えています。

すわわち、フルコミットという働き方ではなく、兼業・副業・復業・出向等多様な働き方を許容できる「プロジェクト型」や「時間(量)単位」での確保、様々な手法だと考えます。

小林 章一

小林 章一

早稲田大学大学院法学研究科博士前期課程修了(法学修士)。現役国家公務員。日本ベンチャー学会会員、日本法社会学会会員、日本中小企業学会会員。行政の現場で法律の策定、多くの産業を支援してきた経験、加えて、個人のスキルアップのため幅広い学問分野に従事してきた学術的経験を活かし、日本が直面する問題の解決を目指す「活きた学問」の追求を目指していきたい。「失われた30年」を取り戻し、日本経済再生のカギになるようなオリジナルで核心を突いた知識・情報の発信を行っていこうと思います。

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小林 章一

小林 章一

早稲田大学大学院法学研究科博士前期課程修了(法学修士)。現役国家公務員。日本ベンチャー学会会員、日本法社会学会会員、日本中小企業学会会員。行政の現場で法律の策定、また多くの産業に関わってきた経験、加えて個人としてのスキルアップのため学問分野に従事してきた学術的経験を活かし、日本が直面する問題の解決を目指す「活きた学問」の追求を目指していきたいと思っています。 「失われた30年」を取り戻し、日本経済再生のカギになるようなオリジナルで核心を突いた知識・情報の発信を行うよう心がけます。

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